都市の庭師として暮らす
修士一年 木の家設計グランプリ2020
機能:住宅
敷地:東京都世田谷区等々力
規模:250㎡
共同設計者:張替依里
私達は地球という惑星を庭のように手入れし、生まれた大地の中で自然と共に自然と共に生活を構築してきた。
いっぽう現代では都市と自然の衝突が当たり前のように起こり、両者は取り合う関係となっている。
都市と自然、両者に敬意を払い、バランスを調整していくことを考え、
都市の「庭」としての自然を手入れする「庭師」として暮らすことを考る。
都市の裏側に追いやられた自然を再び表出させるように通り道を設け、沿うように「庭師」の住居を設計する。
庭師は庭の手入れとして植生の管理と建物の増改築のバランスをとり、都市と自然の均衡状態を生み出していく。
敷地として都市の裏側に追いやられた自然、東京都世田谷区にある等々力渓谷に着目する。住宅街にありながら、
鉄道駅から広がる通りから見えず、隠れた自然となっているこの渓谷を都市に表出させ、渓谷の生態系がもたらす
植生の遷移と木造のテラスや縁側の増改築によって、敷地内を「都市の庭」として手入れをしていく。
敷地の半分を住戸、もう半分を渓谷から自然の通り道となる「庭」とし、庭では植生の遷移に合わせて、
テラスや縁側を増築や減築による「手入れ」を行っていく。
テラスや縁側は、床板や筋交い・垂木を組み替えていくことで部材が循環し、庭に合わせて変化していく。
住戸の庭に面した立面は、すべて窓で構成され、渓谷から庭に連なる植物や訪れる鳥などを楽しめる。
土間のあるリビングダイニングは庭の植物が引き込まれていき、上階へはスキップフロアにより庭を臨みながら
植物の成長に従って木登りをしていくように移動できる。
庭師として暮らすとは、自然と建築の平衡状態を取り戻すように「手入れ」していくことで、
自然の成長に合わせてなるべく逆らわないあり方である。

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