営みの断片を刻む
学部三年 設計製図Ⅱ 第二課題
機能:文化複合施設
敷地:東京都湯島文京区湯島
規模:3000㎡
複合施設の諸室を与えられたうえで、「Cultural Condenser(文化の凝縮装置)」となる建築を考える課題。
台地と低地の境の敷地で、台地を彫り込んで低地と同じレベルにし、そこに被さる新しい地形を設計した。

東京の大地はふたつの地形から構成される。台地と低地、地学的には洪積層と沖積層、異なる二つの大地に
先人たちは暮らしを築いてきた。異なる地形には別の暮らしがありそれぞれの文化が宿る。
台地と低地、両者のせめぎあいが起こる場所こそ地形が生んだ「Condenser(凝縮装置)」なのではないだろうか。
敷地は文京区湯島の岩崎庭園、国立近現代建築資料館に隣接する土地。敷地周辺からは、
台地にある文教地区の学び・祀る「アーカイブする文化」と、低地にある下町の「ものづくり文化」を見いだせる。
この地形によって隔てられた異なる文化を、ひとつの建築に転写することが文化凝縮装置だと考えた。

この台地と低地の関係性を建築に落とし込むために、台地のレベルにある敷地を掘りこんで、
できた地階にものづくりを行い使っていく低地の「作る営み」のための諸室を入れる。
上部には地階を臨むシークエンスをジグザクに振られながら歩くプロムナードとして設計する。
上部のプロムナードは庭園と接続し散策する人達の流れを引込む。地階と上部では、隆起した地形のような屋根を
通し、お互いの視線が交錯する。地階へつながる傾斜した広場も、岩崎庭園から連続する地形となり、
人々の自由な活動が生まれていく。
刻んだ新しい地形の中に、隔てられた台地と低地、それぞれの営みが合わさり生活景として記録される。

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